探偵といえば、シャーロック・ホームズです。
銭形平次です。
それで、へそまがりの作家チェスタトンは、もっとも探偵らしくない特徴を全部合わせもった「ブラウン神父」を探偵に仕立て上げました。
そして、51の短編からなるブラウン神父シリーズ(5冊)は、ホームズ物と二分する人気を博すことになります。
また、こんな例はどうでしよう。
本は読まれるためにあります。
読みやすい文章。
読みやすい分量。
しかも、ホットで刺激的な内容。
こんなところを、「誰でも」考えますね。
ところが、世界最大の販売量を誇る『聖書』はどうでしょう。
厚ぼったく、天文学的に古い、荒唐無稽の内容や事件に満ちています。
でも、あれが、『毛沢東語録』並に薄かったら、こんなにも「親しまれ」たでしょうか。
買い置かれ、読まれたでしょうか。
マルクスの『資本論』も同じことです。
つまり、場合によっては、「厚すぎる本」というのが、セールス・ポイントになるのです。
でも、普通は、正攻法でいきたいですね。
「特徴」、「定型」、あるいは、「既成」に「新しさ」、あるいは「別なあるもの」を加えるのです。
ブラウン神父に通じるような製品、聖書に負けない厚い本をセールス・ポイントとするのは、奇抜すぎます。
よほどの力技を必要とします。
「定型」にプラスα、それがセールス・ポイントになるものです。
村上春樹の『ノルウェイの森』は、大ベストセラーになりました。「ノルウェイの森」は、ビートルズから取ったものです。高橋ナツコ氏によると、本歌のほうは、「ノルウェイ材」というほどの意味です。でも、「ノルウェイ材」という書名では、いかに村上春樹といえども、ベストセラーにすることは出来なかったのではないでしょうか。
「ノルウェイ・ウッド」にプラス・アルファを加えて、セールス・ポイントにした、できた、村上春樹の企画力に脱帽です。
でも、これは、「本歌取り」の手法です。
もっともなじみ深い、「平凡」ないき方なのです。